雨宿り-回帰-

――いつもと変わらないはずの今日は、崩れ落ちた天井と一緒に終わりを告げた。
地下室に閉じ込められていた少女、時雨は、突如天井から降ってきた姉の知り合い、東雲に助け出される。
当たり前だったはずの、最低な毎日に差し伸べられた無骨な男の手は、きらきらと眩しいくらいに輝いて見えた。



登場人物


時雨(しぐれ) 10歳 女性

水を操る不思議な力を持った少女。
その力を独占しようとした一族によって、生まれてすぐ地下牢へと閉じ込められてしまう。大人たちにひどい扱いを受けてきたこともあり、他人が少し苦手。
助けてくれた東雲と小炎には少しずつだが心を開こうと努力はしている。

 

 


東雲(しののめ) 28歳 男性

裏社会では名の知れた傭兵。
身体の至る所に傷跡があり、その所為か大の風呂嫌い。
時雨の姉、梅雨と知り合いで彼女から時雨を助けるように頼まれていた。
小炎や銀とも腐れ縁で、何故か東雲の周りには血の匂いが染み付いた人間ばかり集まる。

 


小炎(シャオイェン) 外見20代前半 性別不詳

東雲と行動を共にしている鬼面を付けた半妖。
傭兵の仕事がない時には、薬売りに扮して情報収集に勤しんでいる。
金目のものに目がなく、金を積まれるとどんな依頼でも受けてしまう悪癖持ち。
そのため、裏社会では恨まれることも多く、逃げ足が早いことから名前を文字って『小兎』の渾名で呼ばれている。

 


銀(ぎん) 23歳 男性
白蜂商会、若頭の青年。
組長が東雲に依頼した『輝石の回収と売人の確保』の確保を目的とし、一向に加わった。

小炎とは顔を合わせれば、武器を交えた喧嘩に発展する中だが、銀自身は小炎のことを憎からず思っている。

 

 



序章、雨音

第1章『外待雨』
姉の知り合いを名乗る傭兵、東雲に助け出された時雨。
初めて見る光景に胸を躍らせる少女の姿に、東雲は時雨の姉、梅雨を重ねるのだった。

1話『姉妹』
2話『残されたもの』
3話『輝ける石』
4話『空を舞う』
5話『春海へ』
6話『鬼ごっこ』



第2章『栗花落』
黒燈の依頼で「輝石」と呼ばれる曰く付きの宝石を探すことになった東雲たち。
早速、手掛かりを求めて戦艦を元に造られた動く街「春海」を目指す。

1話『銀に燻る』
2話『鬼の宿命』
3話『呼び名』
4話『おもかげ』
5話『酒涙雨-前編-』
6話『酒涙雨-後編-』
7話『屍が征く』



第3章『天泣』
輝石の原材料を知って怒りに燃える東雲たちだったが、突如現れた刺客に時雨を攫われてしまう。
時雨を取り戻すため――そして、悪縁を断ち切るために、因縁の街「青蘭」へ乗り込むのだった。

1話『呪言』
2話『懐かしい色』
3話『蓮とその守り人』
4話『雨上がりに願いを』
5話『誓いの言葉』


キャラクターデザイン・イラスト じろあるば様