咲かない蕾



あらすじ

世界を救ったシアンと桔梗の息子、シュラ。
母、桔梗と共に世界樹の周辺調査任務に出向いた彼は、そこで大きな蕾を見つける。 蕾の中から姿を現した少女――エルヴィとの出会いによって、シュラは世界を揺るがす大事件へと巻き込まれていくことになってしまう。


 
序章、かくれんぼ
見つけた、と懐かしい声に名前を呼ばれる。
あの頃の面影を残しながら、精悍な顔立ちになった青年の姿に、蕾は手を伸ばす。
繋いだ手を二度と離すまいと心に誓いながら――。



第1章『英雄の息子』

世界を救ったシアンと桔梗の息子、シュラ。
英雄の子という重荷を背負った彼は、両親に劣等感を抱きながらも、同期たちと共に卒業検定に臨むのだった。

1話  2話 3話



第2章『たゆたう蕾』

世界樹の蕾が旭日の力によって人型を得る。
『エルヴィ』と名付けられた少女を次代の世界樹とするため、シュラとその同期たちは各地を巡る旅に出ることに。

1話  2話  3話  4話



第3章『開花の刻』
魔力を求めた世界樹が暴走。
各地で根による魔力搾取が起こる中、エルヴィは知性を無くした母を思って涙を流す。


1話  2話  3話



番外編

龍の愛し子
シアンの子どもを妊娠した桔梗。
突然のことにどうやって夫に伝えるべきか悩む彼女を、旭日と華月は「他人から聞かされる前に伝えるべきだ」と諭すのだが――。

道行き照らすは、龍の燈
卒業を待つばかりとなったシュラは叔父である蘭月から『灯龍祭』に参加しないかと誘いを受け、母の故郷である東の国を弟妹たちと共に訪れた。だが、そこで彼らを待ち受けていたのは、皇太子誘拐事件で――!?

灯龍祭-行燈-
灯龍祭-円舞-
灯龍祭-言祝-
灯龍祭-黎明-

白波 NEW!!
突然、朝早く訪ねてきたシィナに、驚きを隠せないシュラ。
だんまりを決め込む彼女から打ち明けられた内容に、重いため息が唇から零れ落ちた。

金色の春 NEW!!
再会を果たしたシュラとエルヴィ。
かつての仲間を訪ねた二人はその喜びを分かち合うのだが――。

ホロスコープの向こう NEW!!
監査官としての任期が終わりを迎えようとしていたアンナは、監視対象でもあり、初恋の相手でもあるホロに「最終日にデートをしてほしい」と頼む。ホロのことを諦める、という条件付きのそれを、彼は快く了承する。
だが、デートを翌日に控えた夜、アンナは女性と一緒に酒場へやってきたホロを目撃してしまうのだった。



登場人物


シュラ・ウェルテクス 16歳 男性

桔梗とシアンの長男。
外見要素の多くはシアン似だが、唯一瞳の色だけ桔梗に似て湖畔のような緑。
5人兄弟の長男ということもあり、無自覚の苦労性・世話焼き。
長刀と蹴り技、氷魔法を得意としている。

 

 


エルヴィ 外見10代後半 女性型
次代の『世界樹』で、今は蕾の状態。
先の戦いで傷付いた世界樹が代替わりを行うため、周辺の土地から吸い上げた魔力で生まれた。
調査にやってきたシュラの魔力を気に入り、蕾の守り人として彼を選ぶ。

 

 


ジェット・ユーグランス 16歳 男性
シュラの同期。
温和な性格で話のまとめ役を務めることが多い。
龍を操るシュラの魔法見たさにラエルの単独行動を放置するなど、男子特有のノリも併せ持つ。
得意魔法は支援系。武器は弓矢を使用。

 



ラエル・アザレア 15歳 女性

シュラの同期。
同期を揶揄うのが大好きな悪戯っ子。
面白そうなことがあると突っ走らずにはいられない。
アザレア家は代々、精霊操術に長けた家系であり、特殊な自然系魔法を得意としている。太刀遣い、近接技が得意。

 


アンナ・ウェルテクス 14歳 女性

桔梗とシアンの長女。
シュラと正反対に容姿は母親似で、若い頃の桔梗の生写し。
好奇心が強く、何事にも首を突っ込みたがるのはシアン譲り。
精霊魔法に長けており、異なる属性(風・雷)の高位精霊を使役している。

 



シィナ・ウェルテクス 12歳 女性
桔梗とシアンの次女。

兄弟の中で最も魔力コントロールに長けており、大魔女の血を引くアメリアに憧れている。
アメリアに師事し、無詠唱での魔法発動をこの歳で習得。
学力も高く、現在は飛び級で姉と同学年のクラスに在籍している。

 


リオラ・ウェルテクス 10歳 男性

桔梗とシアンの次男。双子(兄)・悪戯発案担当。
弟のキヨラが無口なのを補うように、よく話す。
シュラや姉たちに懐いており、彼らが帰省するたびに体術訓練を強請っている。
兄弟の中でも体術が得意で、武器は籠手と一風変わったものを好む。

 


キヨラ・ウェルテクス 10歳 男性
桔梗とシアンの三男。双子(弟)・悪戯実行担当。
普段は無口だが、誰かを揶揄ったり、悪戯を仕掛けたりするときは別。
リオラ同様、兄たちによく懐いており、武器はシュラに憧れて長物の棍を選択した。
ゲテモノ好きが唯一受け継がれてしまったため、父の休日時にキヨラが居るとウェルテクス家は悲鳴に包まれる。

 


ミア・ヴァルツ 15歳 女性
レオンとアメリアの長女。
偉大な曽祖母メリッサ・ヴァルツに憧れており、魔導学園に入学した際、改名届を両親に無断で提出した。
尚、共犯として義伯母が関わっていたとされている。
アメリアの魔法センスを惜しみなく受け継いでいるが、得意魔法は重力魔法で常に箒で飛び回っている。

 


クオン・ウェルテクス 14歳 男性 本編未登場

レオンとアメリアの長男。
二人の息子とは思えぬ、活発な少年で、シュラを一方的にライバル視している。
双子と一緒に悪戯していることが多く、その度にミアやシィナに諌められ(ボコボコにされ)ているため2人が苦手。
桔梗に影響を受け、精霊魔法の授業を取った。

 


トア・ウェルテクス 5歳 男性 本編未登場

レオンとアメリアの次男。
歳が離れているため、一族のアイドル的存在になっている。
アメリアと一緒に過ごしていることが多い所為か、高度の魔法を覚えてしまい、両親が手を焼いている。
先日、転移魔法を発動してしまい、ちょっとした騒ぎになった。

 



キャラクターイラスト/ unknown様 おさむメーカー様